2011年08月05日

〜薬師のタマゴと電波ちゃんの小話・3話〜

ついったの方でちょこっと呟いていた、薬子ちゃんとミントちゃんの組み合わせの小話
書いてしまいました

そもそもの発端は「ミントちゃんと絡ませられそうな19キャラって誰かいるかな」と呟いたら、色々とTLにネタが頻出したのが始まりでした。
で、その中の組み合わせで「2P薬子ちゃんとミントちゃん」ってのがあって、ああ確かに髪の色とか似ているなあと感心しながら出来たのが、こんなお話でしたとさ。

冗長なので三話に分けておきます
更に同人的な要素入っているので、ちょいと間を空けます






















 それから何日か経ったある日。


 リニアモーターカーから降りたワタシを、風が包み込む。
 今日はもう一つのパラボラアンテナが建つ、別の区画に遊びに来ていた。
 あの“薬子さん”とかいう不思議薬師さんを恐れて、他の場所を選んだという理由も少なからずあるけれど。
 改札を降りたその時、ワタシの目の前を女の人が通る。
 その人の外見には、見覚えがあった。
 頭にはキャップ、黒いワンピース……いや、シャツを着て、大きな袋を背負って、顔には閉じた眼が書かれた変な眼帯―― 

「「ああーーーーーっ!!」」

 次の瞬間、ワタシは声を張り上げて、失礼ながら、その人を指差してしまっていた。
 ごめんなさい。見ず知らずの女の人……だって、色こそは違えども、あの薬子さんにあまりにも瓜二つなんだもん。
 髪は茶色、シャツは真っ黒と、色は全然違うけれど。

 ……ちょっと待って。今あの女の人も、ワタシを見て、同じように声を張り上げていた。どういうことなの。
 とりあえず状況の確認をするため、薬子さんによく似た女の人に話を聞こうとしたその時、向こうから口が開いた。
「ごめんなさい。私の見間違いだったわ……つい最近会った子に、あまりにソックリだったから……。
 あー、この間の面倒を思い出すわ」
 薬子さん似の女の人は、申し訳なさそうに会釈して、ワタシの横を通り過ぎていく。
 ワタシとソックリの人に会って、更に面倒なことに巻き込まれた。
 もしかしたらこの女の人も、ワタシと同じような目に遭ったのかもしれない。思い切って、お話してみよう。
 女の人の後姿を逃さず、声をかける。
「すみませーん!」
 女の人が、ワタシに気付いてこちらを振り向いた。


 ワタシの予想は見事に的中していた。
 自分の事をあの人と同じく「薬子さん」と名乗るこの人は、別の区画で、ワタシのソックリさんに話しかけられたらしい。
 そこで何をされたのかというとのが、これまた頭を抱えたくなる内容で……茶色い薬子さんは、ワタシのソックリさんに、ひたすら“電波を受信をしよう”とわけのわからない催促をされながら、追いかけ回されたというのだ。全くもって、迷惑極まりない話である。
 待合室の椅子に腰掛けながら、茶色い薬子さんはワタシの顔を観察し始めた。
 瞳の色は、青色の薬子さんとは違い、真っ青で綺麗な目である。
「でも……色は全然違うね。あっちは桃色の髪に、エメラルド色のワンピースだったし……
 いやあ、それにしてもすごいソックリだわ」
 場所は違えど、ワタシと同じような目に遭った人……もしかしたら、何か情報を知っているかもしれない。
 こうなれば、考えるよりも行動。直接、この人にお話してみることにしよう。
「こっちもです! 薬子さんによく似ている、水色の髪の人に、変なお薬を薦められて……ちょっと怖かった……」
「えっ!?」
 ワタシの言葉に、茶色い薬子さんの青い目が動いた。
 ここまでくれば、向こうでも何があったかは明白である。ワタシはそのままの流れでついぞ昨日の体験を茶色い薬子さんにお話ししてみた。
 わけのわからないお薬を薦められたこと、追いかけられたことを何から何まで。

 ワタシの話を聞いた後、茶色い薬子さんは溜息をつきながら言った。
「あなたも私と同じような事をされたなんて、にわかには信じられないけど……。現にお互いを出会い頭に指差していたしねえ……信じるしかないか。
 それにしても酷い話ね……私でもそんなに野蛮なことはしないわよ」
「変なお薬を飲まされるんじゃないかって、怖かったんです……。あなたは、そんなことしませんよね?」
「しないって言ってるでしょ! 私は健全な薬師です!」
 別の区画で、同じようなトラブルに遭遇したという人と、運命的な出会いをすることができた。
 しかし、結局得られた情報はそれっきり。お互い、ソックリさんに会ったということだけで、そのソックリさんが何処に住んでいるのか、そもそも何者なのか、詳細なことは何一つ分からず終いであった。
 こうして二人で話しているうちにも、あのソックリさんはまた別の所で奇怪な行動を取り、評判を貶めているかもわからない。
 そんなことは、ワタシは御免だった。何とかして、止めさせないと。

「ねえねえ、あなた」
 妙な使命感を胸中で燃やしていると、茶色い薬子さんが話しかけてきた。
「は、はいっ!?」
「あなた、自分ソックリのニセモノに変なことされて、何とも思ってないわけ?
 私は嫌だなー。どうにかして、捕まえてやりたい所なんだけど」
 どうやら茶色い薬子さんも、ワタシと思うところは同じだったようだ。
 自分の悪評を広められることへの憤り。茶色い薬子さんの場合は、色々な人にお薬を配る薬師さんということもあって、尚更都合が悪いのだろう。
 不思議な所で意気投合してしまい、ワタシの中でも、何かが爆発した。
「ワタシだって嫌です! これ以上、自分の変な噂を広められたら、どうなってしまうか……!」
「でしょ、でしょ!? こうなったら、そのニセモノをとっちめて、洗いざらい吐かせてあげようじゃない!」
「ええ! 次に会った時は、たくさん怒ってあげないと、気が済みません!」
「よしっ! 善は急げね!! ニセモノ捜索隊、始動よ!」
 半ば流れに身を任せたような感じではあるが……ここに、二人きりのニセモノ捜索隊が結成された。


 時は過ぎて、改札口の前。
 連絡先を教えてもらった後、ワタシは改めて茶色い薬子さんに挨拶をする。
「今日はお話を色々聞いて下さって、ありがとうございました!
 そういえば、リニアに乗る途中だったんですよね……呼び止めちゃって、ごめんなさい」
「いいのいいの。急いでいたわけじゃないから。
 それに私だって、大収穫よ? 同じような体験を共有できる子と、出会えたわけだし!
 というわけで……これから宜しくね、ミントちゃん。仲良くしましょ」
「はいっ! って、どうしてワタシのお名前を……」
「あなた、私の名前を一度も聞いていないのに、私を“薬子”って呼んでたでしょ?
 お互いソックリさんに会っていて……つまりはそういうことよ」
 茶色い薬子さんは、あっけらかんとした様子でワタシに笑い、そのまま改札を通り過ぎていった。



 この広い世界のどこかにも、あなたに良く似たソックリさんが、もしかしたら居るかもしれません。
 ただし……その性格までソックリさんかは、存じかねますが。

 それにしても、茶色の薬子さんと青色の薬子さん……どっちが本物なのかしら。

END
posted by あらかねひろ at 20:48| 北海道 ☁| Comment(0) | 駄文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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